この歯を見(診)て、3本ともひどい虫歯とわかるでしょうか?
一般の方は当然わからないと思います。
それでは、歯科医であればわかるのでしょうか?
私でも、見ただけでは正直わかりません。
しかし、歯科医として、きちんと検査して、診査、診断すればわかります。
それではこちらはどうでしょうか?
歯がしみるとか、歯が少し欠けたとか、歯に穴が開いているとかの自覚症状があり歯科を受診されます。
その部分のレントゲンを撮影すると、穴の開いていたり、しみていた歯は歯の神経の近くまで虫歯が進行しており、歯の半分近くにまで虫歯が進行してしまっています。
また、その2本横の奥歯の歯と歯の間にも、小さな虫歯ができており、同じ状態になりはじめています。
実際に虫歯治療をし始めると、虫歯の取り残しのない、虫歯の再発のない治療をすると同時に、歯の神経を抜かずに残す治療を行うという、難しい虫歯の治療が必要になっており、また、2本隣りの奥歯の虫歯治療も行わなくてはいけません。
このような一見小さく、簡単な虫歯治療と思える歯でも、実は正確に診断し、丁寧に治療を行わなければなりません。
最初の写真の歯は、緊急処置ではなく、虫歯の精密検査をして、診断を行ってから、治療の内容に合わせた予約をとり、治療を進めます。
レントゲン検査とレーザー検査により発見し把握している虫歯の箇所と部分を治療します。3か所の目に見えない部分の虫歯が大きく広がっていました。
ただ、虫歯を削るのではなく、虫歯の撮り残しのないように、なおかつ、歯の神経を傷つけないよう、細心の治療を行います。
この、虫歯治療こそが歯科治療の中で、最も難しい治療の一つになります。
(ちなみに、私はインプラントの手術は1時間あれば14本の手術を終えてしまいます。顎の中に埋まった親知らずは5分で抜いてしまいます。)
虫歯の感染歯質を完全に取り除き、健全歯質を最大限削らないように配慮し、治療しました。
今度は、取り除いた欠損歯質をきっちりと隙間なく詰め、修復し、フロスもきちんと通るようにしあげます。
トータル1時間かかりました。
検診と虫歯治療の話に戻りますが、このような虫歯も含めて、歯科検診の結果、何本の虫歯があったかという検診結果は正しいでしょうか?
それでは、検診をしている歯科医はそのことを知らないでしょうか?
歯科医は集団検診の精度のことは、みんなきちんと理解しています。
そのうえで、患者さんにつたえる検診結果は、あくまで、かかりつけ医できちんと診てもらうためのスクリーニング検査であり、苦手な歯科に行ってもらうきっかけとしての重要性を重視しています。
付け加え、ざっと見ているといっても、当然専門家ですので、一目見ただけで、さまざまな、潜在的リスクや疾患までみてアドバイスをしています。
そのような、ことから、検診の後に、かかりつけ医に適切に検診してもらうことが重要になります。
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